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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第23章 雪の日の輿入れ
 瑶子が四代将軍の正室候補としてその名が上がったときから、惟章は遠い存在になった。それまで末娘ということで、さして気にも留められていなかった瑶子の身辺がそのときから俄に警護が厳重になり、特に若い男がその近くに寄ることは許されなくなった。惟章は乳母子ということで、父も警戒はしていなかった。それが幸いして、二人は人眼を忍んで恋を育んでいったのだ。
 風に運ばれ、白い花びらが舞うように通り過ぎてゆく。その儚い美しさに、瑶子は都にいるはずの恋人を重ね、そっと涙ぐんだ。
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