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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第23章 雪の日の輿入れ
「雪を見ておりました」
「雪、か」
 瑶子の言葉に、頼経も真似るように夜空を見上げる。漆黒の空から絶え間なく落ちてくる花びらを見つめる眼は、その天(そら)と同様に闇色に染まっていた。
「私は雪は嫌いだ」
 何故にと訊こうとしたまさにその瞬間、頼経がふわりと微笑んだ。哀しげな、本当に一瞬で溶けてしまいそうなほど儚げな笑みに、何故か瑶子は胸をつかれた。
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