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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第23章 雪の日の輿入れ
 瑶子は頼経の気持ちに、今の惟章を想う我が身の恋心を重ねたのだ。が、頼経がそんなことを知るはずもない。闇に塗り込められた切れ長の美しい双眸がかすかにまたたいた。
「愕いた。新婚初夜にこのようなことを申せば、大抵の女は不機嫌な顔をするかと思うたが」
 頼経もまた〝大切なひと〟というのが瑶子に誰であるかはすぐに判ると思っていたようだ。
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