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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第23章 雪の日の輿入れ
「私の気持ちを一方的にそなたに押しつけるつもりはない。それに、誰かを強く求めることは、反面、とても怖ろしいことであることも私は知っている。強く求めたものが手に入った時、人は歓ぶが、失ったときの哀しみや絶望は計り知れない。手に入れたときの歓びをはるかに上回るほどに」
頼経が立ち上がった。見上げる彼の瞳の闇がまた濃くなったように見える。
「京から長旅をしてきて、慣れぬ鎌倉での日々で疲れておろう。早く寝みなさい」