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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第4章 嵐の夜
 楓は声を震わせた。
「時繁さまも私を待っていて下さったの?」
 時繁が何度も頷いた。楓の大きな黒い瞳から大粒の澄んだ涙が転がり落ちた。
「私もずっと時繁さまを忘れられなくて、ひとめで良いから逢いたいと願い続けていました。まさか、あなたも私と一緒の気持ちだとは思っていなくて」
「親父さんは説得できなかったのか?」
 それは問いかけの形ではあったが、確認でしかない。楓は頷いた。
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