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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第23章 雪の日の輿入れ
「先刻から、そなたは私の話をまるで聞いておらぬ」
「あの、何の話でございましたか」
「御所の庭にも見事な柿の樹があるという話だ。秋にはたくさんの実がなるゆえ、また誰ぞに取らせて食べるとしよう。そのように話しておったのだ」
 大方、昨夜の閨の中での会話―幼時に瑶子が柿の樹に登って落ちたという話を憶えて言っているのだ。
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