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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第23章 雪の日の輿入れ
 どうも早苗に興味があるらしい頼経の言葉に、瑶子の背をヒヤリとしたものが走る。早苗とくれば、どうしても乳母子の惟章のことを思い出す。万一、話題がそちらに向かえば、我が身が頼経の前で平静を保てるかどうか自信はない。
 瑶子はわざとらしくないことを祈りつつ、笑みを浮かべた。
「いいえ、私に乳をくれたほどですから、まだ若いのです。確か三十三か四になると思います。そういえば、菊乃と同じくらいですわ」
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