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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第23章 雪の日の輿入れ
「私、このとおりでしょ。菊乃が精一杯お化粧で綺麗にしてくれても、たかが知れてるもの。子どもの頃から、そうだったのよ。私には姉が何人かいるのだけれど、どのお姉さまもお母さまに似て綺麗なのに、私だけお父さまに似てるの。だから、自分が将軍家御台所に選ばれたと聞いたときには、嘘だと思ったわ。信じられなくて、両頬をつねったらくらいよ」
 こんな風にね、と、瑶子は自分の頬を手で引っ張ってみせた。鏡の中の少女の顔は更に醜くなった。
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