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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第24章 秘密
季節はめぐり、いつしか長く厳しい冬が過ぎ、春を迎えていた。鶴岡八幡宮を初め、鎌倉の名所といわれる方々で桜花が一斉咲き揃い、東国の都の賑わいに更に華を添えようとしているある日である。
その夜、瑶子は琴をつま弾いていた。将軍家との婚約が整ったのは十四歳のときのことなので、実家にいる間も和歌を初め手習い、箏の琴など女の諸芸万端はひととおり仕込まれている。どれも秀でているとは到底言い難いものの、ひとおりはこなせる自信はあった。
その夜、瑶子は琴をつま弾いていた。将軍家との婚約が整ったのは十四歳のときのことなので、実家にいる間も和歌を初め手習い、箏の琴など女の諸芸万端はひととおり仕込まれている。どれも秀でているとは到底言い難いものの、ひとおりはこなせる自信はあった。