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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第4章 嵐の夜
 時繁を好きだから、祝言を控えた身で屋敷を飛び出した。けれど、正直、ここまでは想像したこともなかったし、再会した夜、すぐに彼が自分を抱くとは考えてみなかった。
 だから、怖い。心の準備が何もできていないのだ。楓は気丈に微笑んではいたが、震えていた。まだ桜花の季節で、深夜の夜気は冷たいこともあった。
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