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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第24章 秘密
瑶子が琴をたしなむと聞いていたゆえ、横笛の名手である彼は満ちた月を眺めつつ、和琴と笛の合奏でも愉しみたいと考えた。思いつくと、それがまたとない妙案のように思えてならない。矢も楯もたまらず、夜更けにも拘わりなく妻の許を訪れたのであった。
寝所の一つ布団に並んで横たわりながら、頼経はしみじみと言った。
「やはり来てみて良かった。私が来なければ、そなたがどのようになっていたかと考えただけで、生きた心地がせぬわ」