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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第25章 生と死
 惟章のことを考えていると、どうにも気持ちが落ち着かず、勢い日中は居室で写経などして過ごしていることが多くなった。
 瑶子が写しているのは〝般若心経〟である。もう何巻めか判らぬのを最後まで書き終えたまさにその時、菊乃が姿を見せた。
「御台さま、京よりお文が届いておりまする」
 瑶子は眼をまたたかせた。
「都から?」
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