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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第25章 生と死
「都の御台さまのお父君藤原久能卿よりのお文にございます。昼前に都から早馬にて届いたものを御台さまにお眼にかけましてございます。これをご覧になるなり―」
 菊乃は先を続けることはできず、絶句した。いつもは冷静沈着で動じぬ彼女まで蒼褪めていた。どう見ても、御台所は狂ったとしか思えない状況だ。
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