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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第25章 生と死
四年前、千種(竹御所)と二人、お忍びで町に出た時、この花売りから花を買ったことがある。老婆は以前、連れていた千種ではなく瑶子を連れているので、気分を害したらしい。とんでもない勘違いではあったが、頼経は真相は話さなかった。
この老婆の記憶の中ででも、せめて千種が生き続けてくれるのなら、わざわざ死んだと話す必要はない。しかし、完全に頼経を女タラシだと誤解した老婆は〝まったく、こういうのが女の敵というんじゃ〟と、すっかりお冠である。
この老婆の記憶の中ででも、せめて千種が生き続けてくれるのなら、わざわざ死んだと話す必要はない。しかし、完全に頼経を女タラシだと誤解した老婆は〝まったく、こういうのが女の敵というんじゃ〟と、すっかりお冠である。