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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第26章 悪しき夢(結実)
けれど、それが純粋な恋心や愛ではないことを当人の瑶子が誰よりよく知っている。そんなことを言えば、惟章は馬鹿にするなと怒るだろうが、瑶子は最早、惟章を愛してはいない。むろん、都を発つそのときはまだ彼を好きだった。
が、鎌倉に来て頼経と出逢い、彼の妻として日々を過ごす間に、いつしか瑶子の心には惟章ではなく頼経が棲まうようになったのだ。もしからしたら、惟章に対する〝好き〟と頼経に対する〝好き〟は似ているようで、微妙に違っていたのかもしれない。
が、鎌倉に来て頼経と出逢い、彼の妻として日々を過ごす間に、いつしか瑶子の心には惟章ではなく頼経が棲まうようになったのだ。もしからしたら、惟章に対する〝好き〟と頼経に対する〝好き〟は似ているようで、微妙に違っていたのかもしれない。