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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第26章 悪しき夢(結実)
―私はどこまで堕ちてゆくのだろう。
それはまさにそんな感覚に等しかった。瞼の向こうで白い雪が舞っている。それは瑶子が頼経に嫁いだ夜、宵闇を舞い踊っていた純白の雪であり、惟章よりも頼経と共に生きることを選んだ運命のあの夜、風もないのに宵闇を舞っていた桜の花びらでもあった。
やがて視界が白一色に染め上げられる。瑶子は再び夢の続きを見ているのかと思った。靄がかかったような茫漠した視界の向こうに、男の笑顔があった。