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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第26章 悪しき夢(結実)
 頼経の脚が止まった。いや、呼吸さえ止まったような気がした。
「―千種」
 けして呼ぶことはないであろう名が無意識にこぼれ落ちる。その声に、座っていた人物が振り返った。物音一つない空間で二つの視線がぶつかり、絡み合った。
 頼経は早足で彼女の許に向かった。その女がわずかにみじろぎする気配があった。
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