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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第27章 切なすぎる夜
 現れたのは初老の男であった。髪にはかなり白いものが混じっているけれど、膚には張りがあり、老人とは呼べない。目鼻立ちはかなり整っており、若い頃はさぞかし女の熱い視線を集めたであろうことを彷彿とさせた。
「珍しいこともあるものだ、かようなところにうら若き美しき娘がやって来るとは」
 声にも深みと張りがある。
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