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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第29章 第五話 【今宵の桜~義高と大姫のものがたり~】

頼朝は愛娘の嫁入り支度に金に糸目はかけなかった。それなのに、姫の身体を蝕んだ病魔はそんな頼朝の努力をあざ笑うかのようにゆっくりと、だが、確実に進んでいった。
入内の支度が進むにつれ、頼朝が姫のために用意した調度類はひと間どころかふた間、三間と占領するほど増えていったのに、姫は自分のために整えられた美々しい調度を見ても笑むどころか、疎ましいものでも見るかのように顔を背けるばかりであった。
入内の支度が進むにつれ、頼朝が姫のために用意した調度類はひと間どころかふた間、三間と占領するほど増えていったのに、姫は自分のために整えられた美々しい調度を見ても笑むどころか、疎ましいものでも見るかのように顔を背けるばかりであった。

