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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第29章 第五話 【今宵の桜~義高と大姫のものがたり~】
頼朝はまた別の形で娘を元気づけようとした。それが即ち、時の帝への入内であったというわけだ。しかし、他の男へ嫁がせるという選択肢は大姫の魂(こころ)を余計に疲弊させただけであった。
最初は入内を頑なに拒んでいた姫はやがて何も言わなくなり、静かな諦めの中にそれを受け入れたかに見えた。そう、あくまでも受け入れたように見えただけで、内実、義高以外の男に嫁ぐ気は姫には毛頭なかったのだ。