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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第29章 第五話 【今宵の桜~義高と大姫のものがたり~】

三幡姫はまだいとけない年頃で、恋を知らない。いわば絵物語を読み耽り、物語の中の貴公子と姫君の情熱的な恋に憧れる年頃であった。
「私などのようにいわくのある女より、純真無垢で恋に憧れる妹の方がよほど帝の后にはふさわしいでしょうに」
自棄のように呟く娘に、政子はそれ以上、取り合わず、優しい口調に戻った。
「このようにいつまでも閉じこもっておるゆえ、病気にもなるのよ。病は気からと申すゆえな、少し外に出てみてはどうじゃ」
「私などのようにいわくのある女より、純真無垢で恋に憧れる妹の方がよほど帝の后にはふさわしいでしょうに」
自棄のように呟く娘に、政子はそれ以上、取り合わず、優しい口調に戻った。
「このようにいつまでも閉じこもっておるゆえ、病気にもなるのよ。病は気からと申すゆえな、少し外に出てみてはどうじゃ」

