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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第29章 第五話 【今宵の桜~義高と大姫のものがたり~】
 六歳の大姫が頬を膨らませる。義高は困ったように眉根を寄せた。
「そんなに花びらばかり集めて、何をするの」
 と、幼い大姫が悪戯っぽい表情で義高を見上げた。
「知りたい?」
「うん、知りたい」
 そこで、大姫はこまゃしゃくれた様子で義高に近づき、耳元で何やら囁いた。途端、義高の顔が赤くなった。
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