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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第29章 第五話 【今宵の桜~義高と大姫のものがたり~】
大姫が拾い上げた花びらを義高に渡し、義高が花びらを糸に通す―その作業を二人は延々と続けた。時折、義高が大姫の顔を見、まなざしが降り注ぐ春の穏やかな陽射しの中で混じり合う。
二人はそっと微笑み交わし、またもとのように黙々と花びらを拾っては糸に通してゆくのだった。
やがて、一つの花冠ができあがった。義高の手に美しい花の冠が乗っている。彼はその花冠を持ち上げて見せた。