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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第32章 睡蓮の庭

穏やかな刻が流れている初夏の昼下がりだった。この時、寛元二年(一二四四)、千手丸と千草、共に五歳、この先に自分たちを待ち受ける運命がどのようなものか、まだ想像したこともなかったのだ。
千草の雨乞いが功を奏したのかどうか、翌日から雨が降り始めた。あれほど輝いていた空は鈍色の雲に覆い尽くされ、雨は数日に渡って降り続けた。この雨により、将軍頼経が鎌倉どのとしての器ではない―と、妙な難癖をつけていた北条得宗家は口をつぐむ他なかった。
千草の雨乞いが功を奏したのかどうか、翌日から雨が降り始めた。あれほど輝いていた空は鈍色の雲に覆い尽くされ、雨は数日に渡って降り続けた。この雨により、将軍頼経が鎌倉どのとしての器ではない―と、妙な難癖をつけていた北条得宗家は口をつぐむ他なかった。

