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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第33章 浜辺の約束
「それにしても、よくぞ何度も同じ手で引っかかられますこと。これでもう数えて―」
 わざとらしく彼の前で、千草は両手を突き出し、
「ひい、ふう、みい」
 と数えて見せるのも憎らしい。千草は十まで数えたところで破顔した。
「両手指では足りませぬ」
「何と憎らしい人だ。その歳になっても、童の頃と変わらず悪態ばかりついておるとは」
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