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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第33章 浜辺の約束

若さまと姫さまはあのときのお二人に生き写しでいらっしゃる。兄者と妹御、それぞれ美しき父君と母君にお似ましになったのでございましょう」
男は懐かしそうに眼を細めて語った。この男こそ小間物屋の喜知次であった。十八年前、彼が出逢ったのは四代将軍夫妻であった。ただし、妻の方は頼嗣の生母大宮どのではなく、最初の正室である。頼経とその妻千種、頼経は頼嗣の父だし、千種は千草には伯母に当たる。頼嗣と千草が若い頃の将軍夫妻に似ていたとしても不思議はない。
男は懐かしそうに眼を細めて語った。この男こそ小間物屋の喜知次であった。十八年前、彼が出逢ったのは四代将軍夫妻であった。ただし、妻の方は頼嗣の生母大宮どのではなく、最初の正室である。頼経とその妻千種、頼経は頼嗣の父だし、千種は千草には伯母に当たる。頼嗣と千草が若い頃の将軍夫妻に似ていたとしても不思議はない。

