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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第33章 浜辺の約束
「何の、それよりも、お屋敷にお帰りになったら、お父上によろしくお伝え下さい」
 この小間物屋はどうでも十八年前に遭遇したのが父頼経だと信じて疑っていないようである。またそれは紛れもない事実であり、頼嗣は喜知次にそう確信させるほど、その頃の頼経にそっくりそのままの姿であったのだが―。まさか父までもが自分のように身をやつして御所を出てお忍びで町を徘徊していたとは想像もできない頼嗣であった。
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