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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第34章 切なる願い~父と息子~

品の良い落ち着いた設(しつら)えは、部屋の主の人柄を物語るかのようである。幼いときから、頼嗣は父が声を荒げたところを見たことがない。理不尽にも時の執権経時に将軍職を追われた時、頼経はまだ二十六歳の若さだった。しかし、そのときですら、父は執権からの要求に従容として従い、微塵の動揺も見せなかった。
そんな父の人柄を慕い、御家人たちが集まってくるのも当然のことだと思っている。父頼経は頼嗣にとって常に政治家としても男としても尊敬するべき人であった。
そんな父の人柄を慕い、御家人たちが集まってくるのも当然のことだと思っている。父頼経は頼嗣にとって常に政治家としても男としても尊敬するべき人であった。

