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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第34章 切なる願い~父と息子~
「いえ、さほどの時間ではありません。私の方こそ、先触れもなく突然、お伺いして申し訳ございませぬ」
 父頼経は鷹揚に笑った。
「父と子の間で、そのような窮屈な作法は無用じゃ。さりとて、そなたがこのように前触れもなく訪ねてくるとは珍しい。何かあったのか?」
 父の表情には子を案じる父親の情が浮かんでいる。頼嗣は膝に乗せた両の拳にまた力をこめた。
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