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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第34章 切なる願い~父と息子~
「私が八年前、経時から退職を迫られて、あっさりとその座を投げ出したのも実のところ、我が身が可愛かったからよ。あの時、私が退職を拒んでいれば、私は間違いなく北条に消された。頼嗣、酷なことを申すようだが、私もそなたも同じようなものだ。我らは源家の一族でもないし、ましてや北条とも何のゆかりもない。利用できる間はとことん利用し尽くされるが、ひと度無用となれば、北条は我らを捨て駒としてあっさりと切り捨てる。