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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第34章 切なる願い~父と息子~
 どこか遠い瞳で語る父に、頼嗣は問うた。
「しかし、父上、十八年前にご一緒だった女人というのは母上なのですか?」
 頼経が軽く眼を瞑った。
「その頃、私はまだ十六であった。そなたの母とは出逢うてはおらぬ」
 頼嗣は己れの失言に狼狽えた。
「申し訳ございません。余計なことを申しました」
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