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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第34章 切なる願い~父と息子~

それでもまだ、千種のことを思うと、こんなにも心が狂おしく騒ぐ。そこまで愛したひとは紛うことなく河越氏の女(むすめ)であった。
四代将軍頼経の最初の妻は竹御所と尊称されていた。本名は源鞠子。二代将軍頼家の息女であり、初代頼朝の孫に当たる源氏嫡流の姫だ。しかし、幼名を紫(ゆかり)姫といっていた本物の姫は頼経との結婚を目前に病死した。そのため、急遽、時の執権北条泰時と頼朝の妻であった尼御台政子の策謀により、河越恒正の娘千種がその替え玉に仕立て上げられた。
四代将軍頼経の最初の妻は竹御所と尊称されていた。本名は源鞠子。二代将軍頼家の息女であり、初代頼朝の孫に当たる源氏嫡流の姫だ。しかし、幼名を紫(ゆかり)姫といっていた本物の姫は頼経との結婚を目前に病死した。そのため、急遽、時の執権北条泰時と頼朝の妻であった尼御台政子の策謀により、河越恒正の娘千種がその替え玉に仕立て上げられた。

