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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第34章 切なる願い~父と息子~
「手の者からそれを聞いて知っていたからこそ、義時どのは危険を察知して事前に難を逃れたということなのですか」
 気丈な瑶子の声がかすかに震えていた。 
 頼経は溜息をついた。
「今も北条の怖ろしさは変わってはおらぬ。義時にとりて実朝公は実の姉の子、つまりは甥だった。公暁どのとて、血の繋がった甥の子。血縁的にも濃い間柄なのだ。しかも、北条にとって源氏はなくてはならぬ幕府の大黒柱であったはず。
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