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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第34章 切なる願い~父と息子~

「尼御台さまは話に聞くような怖ろしき野心を持った女性には見えなかった。少なくとも、私には終始、優しき祖母のような存在であった。乳母よりも私は尼御台さまに育てられたようなものだ。私はあの小柄な老婦人の中に、我が子の死すらも容認できるような烈しさ、非情があったとは今でも信じられぬ」
しかし、現実として、政子は一人の娘の人生をいとも容易く激変させた。千種という娘を亡き孫の身代わり姫に仕立て、まんまと偽物の〝源鞠子〟を作り出したのだ。頼経と結婚した時、千種は既に二十八歳になっていた。
しかし、現実として、政子は一人の娘の人生をいとも容易く激変させた。千種という娘を亡き孫の身代わり姫に仕立て、まんまと偽物の〝源鞠子〟を作り出したのだ。頼経と結婚した時、千種は既に二十八歳になっていた。

