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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第34章 切なる願い~父と息子~

我が子さえ平然と手にかけられる非情な政子にとっては、一御家人の娘の運命を変えることなど、小さな虫をひねり殺すようなものだったのか。すべては政子が〝源氏の血〟を後世に残すために取った道ではあったが、政子がそうまでして残したかったものに、いかほどの価値があったのか。
今となっては、政子の心中を知るすべなどない。ましてや、瑶子は先妻が偽物姫であったことを知らないのだ。真実はただ、頼経が墓場にゆくまで心に秘めておくのみ。
今となっては、政子の心中を知るすべなどない。ましてや、瑶子は先妻が偽物姫であったことを知らないのだ。真実はただ、頼経が墓場にゆくまで心に秘めておくのみ。

