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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第34章 切なる願い~父と息子~

やがて、どこから迷い込んできたのか、蝶がひらひらと近づいてきた。燭台の焔に近づいてゆく。それはまるで美しきもの、輝けるものに惹かれて、うかと近づき、焔に体ごと絡め取られて灼き尽くされてしまう蝶の運命の峻烈さを暗示しているかのようである。
美しいけれど、苛烈な一生。頼経が魅入られたかのように蝶に見とれていると、瑶子はつと手を伸ばし蝶を捕まえた。寝所の中とて、頼経も瑶子も着流しの夜着姿だ。袂から覗いた妻の二の腕の白さが眩しかった。
美しいけれど、苛烈な一生。頼経が魅入られたかのように蝶に見とれていると、瑶子はつと手を伸ばし蝶を捕まえた。寝所の中とて、頼経も瑶子も着流しの夜着姿だ。袂から覗いた妻の二の腕の白さが眩しかった。

