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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第35章 対決~将軍と執権~
 頼嗣の眼から、ひとすじの涙が糸を引いて流れた。
「お願いです、私は千草を心から大切に思っているのです」
 だが、父は何も言わない。頼嗣は立ち上がった。
「もう良いッ。父上がどうしても認めて下さらぬというなら、私は執権と差し違えてでも、千草を妻に迎えます」
「慮外者、口にして良いことと悪いことがある。十三にもなって、そのようなことが判らぬか」
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