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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第35章 対決~将軍と執権~

十日余りが過ぎた。河越康経の葬儀も終わり、表面上は何事もなく日はなめらかに流れてゆくように思えた。康経の葬儀には将軍自らも臨席し、隠居した大御所頼経からは破格の香典が下賜された。それはやはり、河越氏が現将軍の乳人一族であり、将軍家二代に渡って絶大な信頼を得ている証と誰の眼にも映じた。
康経の葬儀にはむろん、執権北条経時の姿も見えた。頼嗣は経時の胸倉を掴み上げ、その澄まし返った顔を思いきり殴りつけてやりたい衝動を堪えるのに苦労した。
康経の葬儀にはむろん、執権北条経時の姿も見えた。頼嗣は経時の胸倉を掴み上げ、その澄まし返った顔を思いきり殴りつけてやりたい衝動を堪えるのに苦労した。

