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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第36章 春雪
 頼嗣が笑顔になった。
「あの日のことだ」
 千草も微笑む。
「あの日と申しましても、たくさんありましたゆえ、どの〝あの日〟か判りませぬ」
「―だな、違いない」
 頼嗣がつれられたように笑う。
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