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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第36章 春雪
 私は一体、いつからそんな恥ずかしいことを願う淫らな娘になってしまったのだろう。
 千草が頬を上気させている間に、頼嗣は千草の抱えていた菫の花束から一輪を抜き取った。
「これを口づけの代わりに」
 そのひと言で、頼嗣もまた自分と同じことを考えていたのだと知り、千草は更に頬を赤らめた。
 頼嗣は手にした菫をそっと千草の艶やかな髪に挿した。
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