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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第36章 春雪
 心配のあまり、屋根から降りてきた頼嗣に涙眼で訴えると、頼嗣は頭をかいた。
―済まぬ、そなたにそこまで心配をかけるつもりはなかった。だが、案ずるな。私は高いところに登るのは慣れておる。母上がおん自ら木登りの極意を伝授して下されたからな。
 得意げに言った頼嗣に対して、千草は思わず間の抜けた反応をしてしまった。
―へ?
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