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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第36章 春雪
 頼嗣がいつも常備してある薪を取ってきて、焔に投げ込んでいる。パチパチと火の粉が舞い上がり、黄金色の焔が舞い踊った。冷たい雪も美しいが、燃え盛る熱い焔も比べようもなく美しい。
 その瞬間、千草はハッとした。
 どちらにも、その存在価値はある。その一方を選び取れと迫られても、選び取れない場合もある。そのようなときはどうするか?
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