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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第36章 春雪
痛みはふいに訪れた。それまで感じていた鈍痛とは比べようもない激痛に襲われ、千草はもがき泣いた。苦悶に喘ぐ千草の手のひらと頼嗣の手のひらがしっかりと繋ぎ合わされ、優しい口づけが額に瞳にと落とされる。
「ごめん、私も初めてだから、どのようにすれば良いのか、実は判らなかった。それゆえ、余計に痛くして、そなたを泣かせたのかもしれない」
それからまた泣いたのは痛みのせいではない。優しい頼嗣の言葉に、余計に泣けたのだ。