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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第5章 源氏の一族

楓は毎日、幸せだった。愛する男の傍にいられるのがこんなにも幸せだったなんて、考えたこともなかった。父の命じるままに北条時晴に嫁がなくて良かったとつくづく思う。
町に出かけた数日後の昼下がり、楓は時繁の着物を繕っていた。こう見えても、料理は苦手だけれど、裁縫は得意なのだ。小袖も縫おうと思えば縫える。時繁のためにも新しい小袖と袴を用意してあげたい。それも漁師が着るような簡素のものではなく、武士が着るような、それなりのものを。
町に出かけた数日後の昼下がり、楓は時繁の着物を繕っていた。こう見えても、料理は苦手だけれど、裁縫は得意なのだ。小袖も縫おうと思えば縫える。時繁のためにも新しい小袖と袴を用意してあげたい。それも漁師が着るような簡素のものではなく、武士が着るような、それなりのものを。

