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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第36章 春雪

正室にと望む頼嗣の申し出を退けてまで、自ら側室として生きることを選んだ千草の志を。
「私、常々思うていたのですが、河越の女人は強うございますね。菊乃にせよ千草にせよ、己れが思い定めたひと筋の道を信じて邁進する―、私にはそのように見えまする。いえ、河越のというよりは、鎌倉の板東の女そのものが強いのでございましょうか。東国という大地に根を下ろし子孫を増やし逞しく生きてゆく。都生まれ育ちの私には眩しいほどの生き方にございます」
「私、常々思うていたのですが、河越の女人は強うございますね。菊乃にせよ千草にせよ、己れが思い定めたひと筋の道を信じて邁進する―、私にはそのように見えまする。いえ、河越のというよりは、鎌倉の板東の女そのものが強いのでございましょうか。東国という大地に根を下ろし子孫を増やし逞しく生きてゆく。都生まれ育ちの私には眩しいほどの生き方にございます」

