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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第5章 源氏の一族
 と、古着屋が吹き出した。
「しかし、言わせて貰えば、あの若さまも婆さんには流石に手は出すまいて」
 老婆は真顔で首を振る。
「いやいや、あの阿呆は女であれば、皺だらけの婆ァであろうが襁褓の取れぬ赤児であろうが、何でもござれよ」
「そいつは厄介だ」
 古着屋はおどけたようにピシャリと我が手で広い額を叩いた。随分と芝居がかった仕種だ。
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