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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第6章 復讐のとき
よもや、それが敵の懐に飛び込んだ時繁の葛藤―理想と現実への相容れぬ心から起因しているとは知る由もない楓だった。その良人のわずかな変化はよくよく注意して見ていなければ、うかと見落としてしまうほどのささやかなものだ。けれど、楓には、そのほんのわずかな変化が何か咽に刺さった小骨のように気になってならなかった。
暦が七月に変わったその月の半ば、楓は良人時繁と共に御所に参上した。結婚の挨拶と同時に時繁が改めて家臣となったことに対するお礼を兼ねたものだ。
暦が七月に変わったその月の半ば、楓は良人時繁と共に御所に参上した。結婚の挨拶と同時に時繁が改めて家臣となったことに対するお礼を兼ねたものだ。