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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第7章 疑惑
 数歩あるいたところで、楓は後ろから強く抱きすくめられた。楓は身を捩った。
「放して下さい」
「頼む、これだけは聞いてくれ。愛している。初めて楓を見たそのときから、忘れられなくなった」
 楓は抗うのを止めた。楓の良い香りのする黒髪に唇を押し当て、時繁はくぐもった声で続けた。
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