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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第7章 疑惑
「女院さまは主上がご存命でいらせられることをご存じなのですか?」
「いや」
時繁は首を振った。
「秘密を知る者は一人でも少ない方が良い。朕が生きていることを源氏の者が知れば、ただでは済むまい。また、源氏でなくとも、先帝である朕を己が野心のために再び担ぎ出そうとする輩が出てくる。朕はもう利用されるのはこりごりだ。母上にひとめお逢いして無事をお伝えしたいのは山々だが、恐らく互いに母子の名乗りをすることは生涯叶うまい」