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一夜草~ひとよぐさ~【華鏡(はなかがみ)】
第7章 疑惑

その時、既に五十を過ぎようとしていた養父の髪は白いものが大半だった。平家の生き残り、しかも先帝という特殊な立場にも拘わらず、源氏に売り渡すようなこともせず、我が子として慈愛深く育ててくれた恩を思えば、これより先も子として孝養を尽くし、その恩義に報いるのが筋であることは判っていた。
しかし、時繁には、是が非でも果たしたい悲願があった。無念の想いを抱いて壇ノ浦に散っていった平家一門の宿敵頼朝を討つ。一族の恨みを晴らすまでは、自分がこの世に生き残った意味はないとさえ思える。
しかし、時繁には、是が非でも果たしたい悲願があった。無念の想いを抱いて壇ノ浦に散っていった平家一門の宿敵頼朝を討つ。一族の恨みを晴らすまでは、自分がこの世に生き残った意味はないとさえ思える。

